人手不足に悩む飲食店が増える中、外国人採用が現実的な選択肢として注目されています。
しかし、採用には在留資格やビザ手続き、法的な制約も多く、どこから始めていいかわからないという声も少なくありません。
以下のようなお悩みはありませんか?
・外国人を採用したいが、どの在留資格が適切か分からない
・アルバイトとして雇ってよいのか、法律上のルールが不安
・文化や言語の違いでトラブルが起きないか心配
本記事では、飲食店が外国人を採用する際の基本的な流れや必要な手続き、注意点をわかりやすく解説します。制度の仕組みを理解し、適切に対応することで、人材確保だけでなく店舗の国際対応力の向上にもつながります。
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飲食店で進む外国人採用の背景と現状
近年、飲食業界では深刻な人手不足が続いており、特に中小規模の店舗では人材確保が経営課題となっています。こうした背景から、外国人を採用する動きが全国的に広がりつつあります。
人手不足対策として注目される外国人採用の意義
外国人採用は、単に人手を補うだけでなく、多様な文化や価値観を取り入れることで、サービスの質を高めるチャンスでもあります。特に以下のようなメリットが挙げられます。
・営業時間を維持・拡大しやすくなる(人員確保が可能)
・訪日観光客への多言語対応がスムーズになる
・料理や文化に多様性が生まれることで、店舗の個性が強化される
厚生労働省が発表した統計によれば、外国人労働者の数は年々増加しており、飲食店における外国人就労者の割合も拡大しています。
これは一時的な流行ではなく、今後の飲食業界において持続的に求められる採用戦略であるといえるでしょう。
採用前に確認すべき在留資格と就労条件
外国人を飲食店で採用するには、必ずその人が合法的に働ける在留資格(ビザ)を持っているかを確認しなければなりません。
ここでいう「働けるかどうか」は、在留カードに記載された在留資格の種類と、その資格で飲食業に従事できるかどうかによって決まります。
就労ビザと資格外活動許可の違いを理解する
在留資格にはさまざまな種類がありますが、飲食店での採用に関係する主な区分は以下の通りです。
| 在留資格の種類 | 飲食店での勤務 | 備考 |
| 技術・人文知識・国際業務 | △(条件付き) | 本来は事務・企画職向け。接客・調理は不可。 |
| 特定技能(外食業分野) | ◎(可能) | 試験合格が必要。フルタイムでの就労が可能。 |
| 留学(資格外活動許可あり) | ○(時間制限あり) | 週28時間以内。アルバイトに限る。 |
| 永住者・定住者・日本人の配偶者等 | ◎(制限なし) | 日本人と同じ条件で就労可能。 |
重要なのは、「外国人だから誰でも働けるわけではない」という点です。
仮に面接で採用したくても、在留資格が適合していなければ、働かせること自体が違法行為となり、企業側にも罰則が課せられるリスクがあります。
また、留学生を採用する場合は「資格外活動許可証」の確認が必要であり、在留カードに「許可」の記載があるかを必ずチェックすることが求められます。
外国人採用時の在留カードについて「外国人採用時の在留カードチェック完全ガイド!確認方法と偽造対策を徹底解説」で詳しく解説していますので合わせてご閲覧下さい。
外国人を採用するための手続きと申請の流れ
外国人の採用は、日本人を雇うときよりも多くの確認や書類提出が求められるため、事前の準備が重要です。ここでは、飲食店が実際に外国人を採用するまでの一般的な流れを解説します。
採用契約からビザ取得までに必要な書類とは
外国人採用の基本的な流れは、以下のようになります。
【採用前の確認】
・在留カードの確認(資格、在留期限、就労可否)
・資格外活動許可の有無(留学生・家族滞在者など)
・パスポートの確認(在留期限の整合性)
【採用契約の締結】
・雇用条件通知書または雇用契約書の作成
・労働時間、職務内容、給与、就業場所などを明記
・労働条件が法令を遵守しているかを確認(最低賃金、労働時間など)
【入国管理局への申請(必要な場合)】
在留資格の変更や更新が必要なケースでは、以下の書類を準備します。
| 書類名 | 主な内容 |
| 在留資格変更許可申請書 | 現在の在留資格から変更する場合 |
| 雇用理由書 | 採用の背景や職務内容を記載 |
| 雇用契約書または内定通知書 | 労働条件が明記された書類 |
| 会社概要書類(登記簿など) | 勤務先の信頼性を証明するため |
| 納税証明書等 | 企業の適正な納税状況を示すもの |
注意点:
在留資格の申請から許可が下りるまでに1〜3ヶ月程度かかることもあるため、採用スケジュールには余裕を持たせる必要があります。
また、制度や書式は変更されることがあるため、最新情報は出入国在留管理庁の公式サイトで必ず確認しましょう。
外国人採用の進め方は「外国人採用の進め方と注意点|募集方法・在留資格・支援体制を解説」で詳しく解説していますので合わせてご閲覧下さい。
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採用形態別(正社員・アルバイト)の注意点
外国人を採用する際は、「正社員として雇うのか」「アルバイトとして雇うのか」によって、確認すべき点や手続きが異なります。
適切な雇用形態を選ばないと、在留資格の違反や就労制限違反となるリスクがあるため、注意が必要です。
在留カード確認や労働時間のルール
【正社員としての採用(フルタイム勤務)】
・基本的に、「特定技能」や「永住者」「定住者」「日本人の配偶者等」といった在留資格であれば、正社員としての雇用が可能です。
・就労内容と在留資格が一致しているかどうかの確認が必要です(例:「技術・人文知識・国際業務」は接客や調理は不可)。
・在留資格更新のタイミングや、社会保険の適用についても考慮しましょう。
【アルバイトとしての採用(パートタイム勤務)】
・「留学」や「家族滞在」の在留資格を持つ外国人をアルバイトで雇うには、「資格外活動許可」が必要です。
・この許可がない状態での勤務は不法就労に該当します。
・また、週あたりの労働時間は原則28時間以内(長期休暇中は例外あり)と定められています。
▼ 見落としやすいポイント
・在留カードに記載された就労可否欄を必ず確認すること
・複数の職場で働く場合の時間管理にも注意が必要
・採用時には雇用契約書だけでなく、在留資格や労働時間の適正性の記録を残しておくことが望ましい
正社員とアルバイトでは、法律上の責任や管理の負担も変わってくるため、人材戦略に応じた形態選びが重要です。
外国人を正社員として採用する際について「外国人を正社員として雇用するには?条件・メリット・注意点を徹底解説」で詳しく解説していますので合わせてご閲覧下さい。
外国人をアルバイトとして採用する際について「外国人アルバイト採用ガイド|在留資格・労働時間・注意点を詳しく解説」で詳しく解説していますので合わせてご閲覧下さい。
外国人採用後に必要な職場環境整備と支援体制
外国人スタッフを採用した後、継続的に安心して働いてもらうためには職場環境の整備が不可欠です。
言語の違いや文化の違いは、最初は些細でも、放置すると職場内でのトラブルや離職につながる可能性があります。
言語・文化の壁を乗り越えるための工夫
【言語サポートの工夫】
・業務マニュアルをやさしい日本語または母国語に翻訳する
・メニューや店内案内なども多言語で視覚的に伝える工夫をする
・翻訳アプリやツールを活用し、日常業務での意思疎通をサポート
【文化・宗教への理解】
・ハラールやベジタリアン対応など、宗教的・文化的配慮が必要な場面もある
・服装・食事・あいさつなどの違いを社内研修で共有し、偏見や誤解を防ぐ
【メンタル面のケアと相談体制】
・定期的な面談を実施し、不安や不満を早期にキャッチ
・言語が不自由なスタッフのために、簡単な言葉でのコミュニケーションを心がける
・外部の外国人支援機関と連携し、第三者相談窓口を設けるのも効果的
また、外国人スタッフが孤立せずにチームの一員として活躍するには、「受け入れる側の意識改革」も重要です。
外国人スタッフが「この店で働いてよかった」と感じる環境こそが、長期的な定着と生産性向上につながります。
外国人採用における日本語力向上の社内教育などについては「外国人採用における日本語レベルと教育支援|業務定着に必要な確認ポイントと対策を解説」で詳しく解説していますので合わせてご閲覧下さい。
外国人採用に関する制度上の注意点
外国人を採用する際には、就労に関する制度の理解が不可欠です。特に混同されがちな「技能実習制度」と「特定技能制度」は、目的も適用条件も大きく異なります。
誤った理解のまま採用を進めると、法令違反やトラブルの原因になるため、正しい知識を持つことが重要です。
技能実習と特定技能制度の違いを正しく理解する
| 項目 | 技能実習制度 | 特定技能制度(外食業分野) |
| 目的 | 国際貢献(開発途上国への技術移転) | 労働力不足の解消 |
| 対象業種 | 製造業、農業など(一部飲食業は対象外) | 外食業、宿泊業などの人手不足業種 |
| 雇用の前提 | 技能移転が主目的で、労働力確保が目的ではない | 人材確保のための直接的な採用が可能 |
| 就労内容の自由度 | 限定的(計画通りの業務に従事) | 比較的自由(試験合格が必要) |
| 必要な試験 | 不要 | 日本語試験+技能評価試験に合格必要 |
| 雇用期間 | 最長5年(延長不可) | 最長5年(再試験・条件次第で更新可能) |
【重要なポイント】
・技能実習制度は、そもそも人手不足対策のための制度ではありません。
あくまで開発途上国への技能移転が目的であるため、即戦力として雇う目的には不適切です。
・一方で、特定技能制度(外食業分野など)は、試験に合格すれば、飲食店での就労が可能で、労働力確保の手段として設計された制度です。
採用を進める前に、これらの制度の位置づけ・適用条件・目的の違いをきちんと整理しておくことで、後々のトラブルを未然に防ぐことができます。
まとめ
飲食店における外国人の採用は、人手不足の解消だけでなく、国際対応力の強化やサービス品質の向上にもつながる有効な手段です。
採用を成功させるには、在留資格の確認・適切な雇用手続き・文化や言語への理解といった基本的なポイントを押さえることが重要です。
制度を正しく理解し、職場環境を整備することで、長期的に信頼できる外国人スタッフを確保し、店舗の成長を支える力となります。
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