建設業では深刻な人手不足が続いており、特にウェルポイント施工のような専門作業では経験者の確保が難しくなっています。その解決策の一つとして注目されているのが、特定技能外国人の採用です。しかし、受け入れにあたっては制度の理解や現場対応に不安を抱える企業も少なくありません。
- 特定技能や在留資格の違いが分からず、制度の選択に迷っている
- 外国人に対する技術指導や安全管理の方法が分からない
- 許可手続きや雇用後の支援体制に不安がある
本記事では、ウェルポイント施工分野で外国人材を受け入れるための実務ポイントを解説します。在留資格の整理、必要な技術理解、現場教育の進め方を明確にし、安全性と採用効果を両立する方法を紹介します。これにより、現場の安定稼働と人材定着を目指す企業にとって、実務に即した判断材料を得ることができます。

建設業界の人手不足と外国人採用の必要性

日本の建設業界は、長年にわたり労働力不足に直面しています。高齢化が進み、若年層の建設離れも相まって、特に現場での技能労働者の確保が困難になっている状況です。この傾向は、土木や建築の基礎工事に関わる分野で特に顕著であり、ウェルポイント施工のような特殊作業も例外ではありません。
こうした背景のもと、政府は2019年に特定技能制度を創設し、外国人労働者の受け入れを制度的に支援する仕組みを整えました。これにより、建設業も対象分野として位置づけられ、技能試験と日本語能力を満たした外国人材の雇用が可能となりました。
- ベテラン作業員の引退による技術断絶
- 若手の入職率低下と高い離職率
- 求人を出しても応募が集まらない現場が多い
こうした課題に対して、制度的に合法かつ計画的な外国人雇用を行うことで、継続的な人材確保と現場の生産性向上が見込まれます。
現場で求められる技能とウェルポイント施工の人材課題
ウェルポイント施工は、掘削現場などで地下水を排水するために用いられる仮設排水設備の設置作業です。ポンプや管の設置・管理を行うこの工程は、施工対象の地盤や水位に応じた技術的判断が求められるため、熟練した作業員の存在が不可欠です。
しかしながら、以下のような理由で人材確保が難航しています。
- 施工経験者が限られており、若手への技能継承が進みにくい
- 特殊機器や配管操作に対する教育コストが高い
- 地盤条件や施工環境によって現場対応力が必要とされる
このような背景から、初期段階で基本技能を備えた特定技能外国人の活用が注目されています。採用時点で技能水準が一定であることから、現場での教育期間を短縮でき、企業にとっては即戦力化しやすいメリットがあります。

特定技能制度と技能実習の違いを理解する
外国人材を建設業に受け入れる制度には、「技能実習制度」と「特定技能制度」の2つがありますが、制度の目的や対象となる人材の位置づけが大きく異なります。この違いを理解せずに採用を進めると、現場や管理面でのトラブルにつながる恐れがあります。
まず、技能実習制度は国際貢献が目的であり、日本の技術を開発途上国の人材に伝えることが主眼に置かれています。実習生は「学ぶ立場」であり、企業は教育者としての責任を負うことになります。人手不足対策として導入されるべき制度ではないことに注意が必要です。
一方、特定技能制度は即戦力の人材を受け入れることを目的とした制度です。建設業(ウェルポイント施工を含む)も対象分野の一つで、技能評価試験および日本語試験に合格した外国人を、現場で実務に従事する労働者として雇用できます。
在留資格と制度の特徴を実務目線で整理
採用の際には、それぞれの制度の特徴と在留資格の違いを正しく理解しておく必要があります。以下の表に、両制度の比較を整理します。
| 比較項目 | 技能実習制度 | 特定技能制度 |
| 目的 | 国際貢献・人材育成 | 人手不足の即戦力補填 |
| 対象 | 未経験者(教育が前提) | 技能試験・日本語試験合格者(経験者) |
| 在留資格 | 技能実習1号〜3号(最長5年) | 特定技能1号(最長5年)、特定技能2号(在留更新・家族帯同可) |
| 雇用形態 | 技能習得のための実習生 | 正規雇用としての労働者 |
| 支援義務 | 実習実施者と監理団体による管理 | 企業または登録支援機関による支援義務 |
制度の違いを把握したうえで、採用目的や現場のニーズに合った制度を選ぶことが重要です。ウェルポイント施工のように、現場で即戦力が求められる分野では、特定技能制度の活用がより実務に適した選択といえるでしょう。
外国人を雇用するための許可と手続きの流れ
外国人をウェルポイント施工の現場に雇用するためには、法令に基づいた許可と手続きを正しく踏む必要があります。
これは単なる雇用契約にとどまらず、建設業許可、在留資格申請、支援体制の整備など多岐にわたる実務が関係します。
まず、企業が特定技能外国人を採用するには、次のようなステップを踏むのが一般的です。
| 手続き項目 | 内容 | 担当主体 |
| 建設業許可(一般・特定) | 外国人を含む技能者が従事するには、工事内容に応じた許可が必要 | 雇用企業 |
| 建設キャリアアップシステム(CCUS)登録 | 技能者としてのキャリア・就業履歴を管理するための制度 | 雇用企業/本人 |
| 特定技能所属機関登録 | 外国人を受け入れる企業は「所属機関」としての登録が必要 | 雇用企業 |
| 雇用契約の締結 | 就労条件(報酬、勤務時間など)を明示し、契約を結ぶ | 雇用企業/外国人本人 |
| 在留資格「特定技能1号」取得申請 | 出入国在留管理庁に申請(技能試験・日本語試験の合格が前提) | 外国人本人(企業が支援) |
| 支援計画の作成と実施 | 生活・労働・日本語教育・相談体制の整備が義務 | 雇用企業 or 登録支援機関 |
特に注意すべき点は、在留資格の審査は形式的な書類提出ではなく、制度の目的と雇用実態が合致しているかを厳しくチェックされるということです。例えば、「技能実習の延長」のような誤解を持って申請すると不許可となるケースもあります。
また、契約書や支援計画の作成には多言語対応(例:やさしい日本語+母国語)が推奨されており、スムーズな理解と信頼関係構築に役立ちます。
- 許可取得の有無によっては受け入れ自体が不可能
- 外国人本人だけでなく企業の体制も審査対象
- 登録支援機関の活用で手続きの負担を軽減できる
手続きの正確さと準備の質が、その後の安定雇用につながります。

ウェルポイント施工で必要とされる技術と安全配慮
ウェルポイント施工は、地下水位の高い現場での排水・地盤安定のための仮設工事として実施されます。作業は地中にパイプ(ウェルポイント)を設置し、真空ポンプで地下水を継続的に吸い上げる工程が中心となります。これらの作業には高度な設備理解と安全配慮が欠かせません。
特定技能外国人がこの業務に従事する場合、あらかじめ以下のような基本的な技術と作業知識が求められます。
- ウェルポイントの構造や役割に関する理解
- ポンプの操作方法、流量・圧力管理の基本操作
- 掘削や設置時に使用する建設機械や工具の取り扱い
- 施工図面の読み取りと現場指示の理解力
施工中のミスや判断ミスは、地盤沈下や構造物の傾きなど重大なトラブルにつながるリスクがあります。そのため、一定レベルの技術理解を持つ人材の受け入れと、現場での実践的な教育の継続が極めて重要です。
作業内容と外国人への教育・指導の工夫
外国人材への教育は、単に技術を教えるだけではなく、安全意識や報連相(報告・連絡・相談)の習慣を根づかせることが鍵となります。
以下のような教育手法が現場で有効とされています。
- 作業工程を図や動画で視覚的に示し、言葉の壁を補う
- マニュアルは「やさしい日本語」で簡潔に記載し、必要に応じて母語版を用
- 初期研修では先輩社員のOJTとペア作業による習熟を徹底
- 定期的な安全確認・技術テストを通じて理解度を評価・フィードバック
また、以下のような配慮が現場での安全性と作業精度を高めます。
| 教育内容 | 実施方法 | 補足 |
| ポンプ操作 | 実物を使った実技訓練 | 誤作動時の対応も含める |
| 現場指示の理解 | 日本語と母国語を併記した指示書 | 指差呼称の導入が効果的 |
| 安全意識の向上 | KY活動(危険予知)と朝礼の実施 | 簡潔で繰り返し伝える |
| トラブル時の対応 | ロールプレイ方式の訓練 | 緊急時の連絡経路も周知 |
「分からないことをすぐ聞ける」「失敗しても支援がある」環境を整えることが、外国人材の安心と現場力の強化につながります。
まとめ
ウェルポイント施工における外国人雇用は、制度の理解と適切な手続き、現場教育の工夫により、安全性と即戦力性を両立することが可能です。特定技能制度を活用し、技術や文化への理解を深めた支援体制を構築することで、人材不足の解消と長期的な定着につながります。企業には制度的責任と実務的対応の両立が求められます。

