近年、宿泊・飲食・小売業を中心に、サービス業における人材不足が深刻化しています。国内の労働人口の減少と若年層の業界離れにより、採用活動が困難になっている企業も少なくありません。
その打開策として注目されているのが、外国人労働者の採用です。
以下のようなお悩みをお持ちではありませんか?
・外国人を採用したいが、制度や在留資格の種類が複雑で分かりづらい
・日本語能力や文化の違いによる現場での不安がある
・外国人雇用に伴うリスクや手続きの対応方法が分からない
本記事では、サービス業で外国人を採用する際に活用できる在留資格の種類や制度の理解を中心に、実務上の注意点や、採用後の支援・管理方法についてわかりやすく解説します。
人手不足解消だけでなく、接客品質の向上や多言語対応強化などのメリットを活かした採用戦略をお伝えします。
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サービス業における人手不足と外国人採用の現状
サービス業、とくに宿泊・飲食・小売などの業界では、慢性的な人手不足が深刻な経営課題となっています。厚生労働省の調査によると、これらの業界における有効求人倍率は他業種と比較しても高く、人材の確保が極めて困難な状況が続いています。
この背景には、以下のような複合的な要因があります。
・少子高齢化による労働力人口の減少
・労働環境の厳しさや待遇面による日本人の離職率の高さ
・都市部と地方の求人格差
・土日祝勤務やシフト制など、柔軟な働き方が難しい職場特性
特に地方では求人を出しても応募がゼロというケースも多く、これまで日本人だけで回してきた運営モデルの見直しが迫られていると言えます。
採用難が続く背景と外国人採用を検討する理由
このような状況の中で、外国人採用を検討する企業が増加しています。厚生労働省の「外国人雇用状況の届出状況」によれば、2023年10月時点での外国人労働者数は約200万人を突破しており、前年同月比で増加傾向が続いていることが明らかになっています。
企業が外国人採用を検討する主な理由:
・求人を出しても日本人の応募がほとんどない
・多言語対応や接客レベルの向上を目指している
・将来的な海外展開や訪日客対応を見据えた人材を育てたい
・若く意欲的な外国人材の方が定着しやすいと感じている
また、外国人採用は単なる人材確保にとどまらず、サービス品質や業務効率の改善にも寄与するという評価が高まっています。たとえば、外国人観光客の多い地域では、外国語での接客ができるスタッフの配置が売上向上に直結することもあります。
外国人を採用できる在留資格の種類と特徴
外国人を採用する際は、本人が持つ在留資格の内容を確認することが非常に重要です。在留資格にはそれぞれ就労の可否や可能な業務範囲が定められており、誤った理解で雇用すると不法就労助長罪などの法的リスクを伴うことになります。
特にサービス業で雇用可能な主な在留資格は、以下のようなものがあります。
・特定技能(1号)
・永住者・定住者・日本人の配偶者等
・留学生(資格外活動許可あり)
これらの資格は、就労可能な職種や雇用条件が異なるため、雇用側がそれぞれの特徴を把握しておく必要があります。
特定技能・留学生・永住者の就労条件と比較
以下に、主要な在留資格ごとの特徴と就労条件を表にまとめます。
| 在留資格 | 就労の可否 | 主な対象職種 | 雇用形態 | 就労条件・注意点 |
| 特定技能(1号) | 可 | 外食業、宿泊業、小売業等 | 正社員・契約社員 | 試験合格・日本語能力要件あり。最長5年まで更新可。 |
| 永住者・定住者・日本人の配偶者等 | 可 | 制限なし | 正社員・アルバイト | 在留資格により、就労範囲に制限がなく自由度が高い。 |
| 留学生(資格外活動許可あり) | 一部可(条件付き) | 飲食店、小売店などの接客補助 | アルバイト | 週28時間以内。資格外活動許可がないと就労不可。長期休暇中は制限緩和あり。 |
特定技能は、サービス業の現場における即戦力人材の確保に向いており、特に外食業・宿泊業との相性が良い制度です。一方、永住者や定住者は就労制限がなく、柔軟な雇用が可能です。
留学生のアルバイト採用は、条件付きで可能ですが、就労時間や業務範囲の制限があるため、法令順守を徹底する必要があります。
外国人をアルバイトとして採用する際について「外国人アルバイト採用ガイド|在留資格・労働時間・注意点を詳しく解説」で詳しく解説していますので合わせてご閲覧下さい。
技能実習制度とサービス業の関係に関する正しい理解
外国人雇用を検討する際に、「技能実習制度」が選択肢として挙がることがあります。しかし、サービス業での外国人採用にこの制度を活用することは、制度の趣旨から外れる場合が多いため注意が必要です。
技能実習制度は、もともと開発途上国の人々に日本の技術や知識を移転する国際貢献目的で設けられた制度です。つまり、人手不足の解消や即戦力の確保を目的とした制度ではありません。
制度の趣旨を正しく理解しないまま採用に利用すると、企業・外国人本人の双方にとって不利益を生む可能性があります。
制度の目的と利用の可否についての注意点
技能実習制度と、サービス業で実際に活用できる在留資格(例:特定技能)を制度の観点から比較すると、以下のような違いがあります。
| 項目 | 技能実習制度 | 特定技能(1号) |
| 制度の主目的 | 国際貢献・技能移転 | 国内の人手不足解消 |
| 就労の自由度 | 低(職種変更・転職不可) | 比較的高い(条件付きで転職可) |
| 対象となる業界 | 製造業、農業、建設など(サービス業は対象外) | 外食業、宿泊業、小売業など |
| 雇用可能な職種 | 限定的 | 一定の業務範囲で柔軟な就労が可能 |
| 雇用期間 | 最長5年(段階的に更新) | 最長5年(在留更新可) |
| 日本語・技能要件 | 技能実習計画に基づく | 日本語試験・技能評価試験の合格が必要 |
| 管理体制(受入れ側) | 監理団体による厳格な管理体制が必要 | 企業自身の責任で対応(支援計画の実施) |
このように、技能実習制度はサービス業の人手不足解消策としては設計されていない制度であり、飲食店や宿泊施設、小売業が利用するには不適切なケースがほとんどです。
代わりに、特定技能制度を活用することで、合法的かつ実務的に外国人材を受け入れることが可能となります。
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外国人を採用する際に企業が行うべき手続き
外国人を採用する際には、在留資格の確認や関係官庁への届出、契約書の整備など、法令に則った適切な手続きを行う必要があります。これを怠ると、企業側が不法就労助長罪などの法的リスクを負う可能性もあります。
とくに初めて外国人を雇用する企業にとっては、以下のような手続きの流れを把握しておくことが重要です。
・在留カードやパスポートによる就労可否の確認
・必要に応じた在留資格変更・更新手続き
・厚生労働省への外国人雇用状況の届出
・労働契約書の作成と条件明示(多言語対応も考慮)
手続きを適切に行うことは、企業の信頼性向上と雇用の安定化につながります。
在留資格確認・届出・契約書における留意事項
以下に、外国人採用時の主要な手続き内容と注意点を整理しました。
| 手続き項目 | 内容と注意点 |
| 在留カード・ビザの確認 | ・在留資格の種類・就労制限の有無を必ず確認(在留カードの裏面も確認) |
・留学生の場合は「資格外活動許可」の有無と労働時間制限を確認 | 在留資格の変更・更新申請
・採用業務と現在の在留資格が合致しない場合は、在留資格変更許可申請が必要
・契約内容や会社の業種が証明書類として必要になる | 雇用状況の届出(厚生労働省)
・外国人を採用または離職させた場合、ハローワークへの届出が義務化されている
また、雇用契約書や労働条件通知書は、記載内容に不備があると労使間トラブルの原因になりやすいため、慎重に作成・交付することが必要です。
就労可否の見極めには専門家の助言を仰ぐことも有効であり、行政書士や社労士との連携も視野に入れると良いでしょう。
外国人採用時の在留カードについて「外国人採用時の在留カードチェック完全ガイド!確認方法と偽造対策を徹底解説」で詳しく解説していますので合わせてご閲覧下さい。
外国人採用の進め方は「外国人採用の進め方と注意点|募集方法・在留資格・支援体制を解説」で詳しく解説していますので合わせてご閲覧下さい。
外国人を採用するメリットとリスクの整理
外国人材の採用は、サービス業にとって単なる人手不足解消策にとどまらず、企業の競争力を高める機会にもなります。一方で、採用と定着には一定のコストやリスクも伴うため、メリットとリスクの両面を理解したうえで、戦略的に活用することが求められます。
戦力化と持続可能な職場づくりに必要な視点
以下に、外国人採用における主なメリットとリスクの比較を整理します。
| 視点 | メリット | リスク・注意点 |
| 人材確保 | ・採用難の業界で即戦力を確保できる ・若く意欲的な人材を長期雇用できる可能性がある |
・在留資格の更新や法的対応が必要 ・採用後の育成・支援が不可欠 |
このように、外国人雇用はリスクを伴う一方で、大きなリターンを期待できる取り組みです。とくにサービス業においては、多言語対応力や接客の柔軟性を活かすことで、他店との差別化が図れるという戦略的な意味合いも持ちます。
採用を成功させるためには、以下のような視点が重要です。
・入社前から制度的な整備・研修体制の構築を行う
・管理部門だけでなく、現場レベルでも多文化理解を促進する
・失敗を恐れず、小規模からトライアル的に雇用を始めてみる
これらを踏まえ、外国人材を「人手を埋めるための人員」ではなく「成長のための戦力」と捉えることが、持続可能な雇用の鍵となります。
外国人労働者を採用するメリットやデメリットは「外国人労働者の採用でのメリット・デメリットを徹底解説!人手不足解消のための受け入れ方法と注意点」で詳しく解説していますので合わせてご閲覧下さい。
まとめ
サービス業における外国人採用は、人手不足の解消だけでなく、多言語対応や接客力の向上など、企業の価値向上にもつながります。ただし、在留資格や日本語能力、文化の違いなど、事前に理解すべき制度や課題も多く存在します。適切な人材の見極めと支援体制を整えることで、外国人労働者を長期的な戦力として活用することが可能です。制度を正しく理解し、戦略的に活用していきましょう。
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